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こんにちは。こうすけ歯科医院の古川です。
大阪大学に所属している先生の文献からです。
ミュータンス菌の一部の菌が、「脳の血管を攻撃する」という悪さをすることが分かったとのこと。ご存知のようにミュータンス菌は、歯にくっつき、砂糖から酸をつくりむし歯の原因になる菌です。どなたのお口のなかにもミュータンス菌は存在しますが、その中で「コラーゲンに結合するタンパク」をもつ菌株がいて、この菌株は、血管などの組織が壊れコラーゲンがむき出しになると、そうしたところのコラーゲンにくっついて悪さをするとのことです。このミュータンス菌は、「Cnm陽性株」と呼ばれていて、10人に約1~2人が持っているそうです。そのことで、筆者は「お口の清潔を保つことは脳出血の予防になる」と結論付けています。
機序を簡単に説明すると、血管が痛むと、壊れた部分のコラーゲンがむき出しになり出血します。本来、血小板がすぐにやってきて止血をするのですが、Cnm陽性のミュータンス菌がコラーゲンにくっついてしまい、血小板の仕事の邪魔をするので、出血が続いてしまうとのことらしいです。
このCnm陽性菌は、認知症とも関係することがわかっています。脳血管型認知症の場合、脳出血によって脳が委縮して認知機能の低下を認めます。これもCnm陽性菌が関与しているといわれています。
このようにCnm陽性菌を体の中から除去することは今のところ現実的ではなく、一番大事なのは、お口の細菌が体の中に入り込む「入口」をつくらないこと、つまりお口の中で炎症を起こさせたり、出血させないことということです。具体的には、神経にまで及ぶ大きなむし歯、歯周病にならないようにすることが大事です。
ずばり「予防」ということになるでしょう。