佐賀市兵庫町の安心の歯医者「こうすけ歯科医院」のお知らせ・ブログのページです。

　こんにちは。こうすけ歯科医院の古川です。

　歯の根が不幸にも縦に割れてしまっている歯牙を保存する技術は、現在のところないと思います。そのため、口腔内環境を考えると、炎症があり問題のある歯牙を残しておくことはお勧めできません。ただし、患者さんの心情を考慮すると、なかなか抜歯に踏み切れない場合も正直あります。

　歯根に縦にヒビが入るだけで、急性発作がない場合には、自覚症状はあまりなく、普通、軽度の咬合痛など違和感程度のことが多いようです。レントゲンで確認しても、正常像と変わらないことも多く、診断は困難であることが多いです。器具を歯周ポケットに挿入すると一部のみズブズブ入っていくことがあり、破折の部位だけ骨が無くなっています。完全に歯根が割れている場合は、容易に歯根破折の診断をつけることができます。レントゲン像でも破折線がはっきり写ります。噛んで痛い場合には、患者自ら抜歯を希望されることが多いですが、あまり痛くない場合は、当面保存を希望されるケースが多いように思います。

　ただし、破折した歯牙を長期間放置して置くと破折周囲の骨の吸収が進行して、後の処置に困ることが多いです。たとえば、インプラントを考えている場合は、インプラント埋入のために骨の造成など追加処置が必要となります。またブリッジを選択された場合も、抜歯窩の極端な骨の陥凹を生じ、清掃困難な状況になることがあります。

　以上のような理由で、歯根が割れてしまっている歯牙は、後のことを考えると原則、早く抜歯したほうがよいのですが、抜歯で悩んでいる方は、十分にかかりつけの歯科医と話し合って、納得したうえで治療方針を決めたほうがいいでしょう。

戻る